2)「聴く・気づく・考える」ことの大切さ
―良きパートナーであるためには、顧客のニーズを聴き出すことが重要なポイントですね。
渡邊 ニーズを起点として提案を考える。提案に対する反応を元に試作品を作る。試作品に対する評価を頼りにブラッシュアップする。モノづくりの工程では顧客密着を徹底します。
―ということは、人材に求める能力はまず話を聴く力でしょうか。
渡邊 営業に限らず人の話を聴ける能力は大前提です。加えて気づく能力が大切だと考えています。
―気づく力ですか。
渡邊 ビジネスパーソンとして成長するためには「気づく→考える→対話する→行動する→検証する→気づく」スパイラルに入ることが必要です。
―成長スパイラルの話は聞いたことがありますが、「対話する」は初めて聞きました。
渡邊 対話する相手は上司や仲間です。自分が気づき考えたことを、人に話して相談する。相談によりアイデアはより洗練されたものへ高まり、過去の失敗を繰り返さずに済みます。
―そして行動した後の検証を忘れてはいけないと。
渡邊 ビジネスでは、どれほど自信がある正しいことでもうまくいかない場合があります。逆に詰め切れていない案をままよとばかりにやってみたら意外に成功した、なんてケースもある。ただし、いずれの場合も必ず理由があるはずです。
―理由を検証することが、新たな気づきにつながるわけですね。
渡邊 そのためにも、まず自分で考え、対話すべきなのです。きちんと報告し、相談することで成長スピードは加速しますから。
―新入社員も一年目から即戦力に「する」と宣言されました。
渡邊 一人前になるまで3年はかかる、といわれます。経験の重要さを否定するつもりはありません。しかし経験がなければ一人前にはなれないと決めつけるのではなく、どうすればできるかと考えるうちに道が見えてきました。
―早く成長できるのは社員にとってもありがたい限りです。
渡邊 カギは知識とスキルです。営業、製造、資材、総務と各部門ごとに求められる知識があります。この知識教育を徹底することが一つ。さらに部門ごとに必 要なスキルを身につける。営業ならセールストークや商談のスムーズな進め方、製造スタッフなら機械の扱い方や整備方法などです。
―職種別のスキルを短期間で身に付けられればいいわけですね。
渡邊 スキルレベルは経験に応じて深めていけばいい。そのためにはどういう教育を体系的に行えばいいのかがわかってきました。
―具体的にはどのような教育になるのでしょうか。
渡邊 第一弾として取り組んでいるのが、営業職の商談シミュレーション・ロールプレイングです。月に2回、営業スタッフにベテランの指導役を交えて行っています。
―あのロープレにはそういう意味があったのですね。
渡邊 アドバイスをもらったり、ダメ出しを受けることで気づきが生まれます。気づけば考える。その場で対話して、次の営業に活かすことができます。
3)「当社で成長できる人に来てほしい」へ続く